ふるさと物語 70 『八郎太郎』昔話と伝説(1)/紫波町

ふるさと物語 70 『八郎太郎』昔話と伝説(1)/紫波町

「ふるさと物語」【70】〈昭和45年2月10日発行「広報しわ」(第175)〉

「広報しわ」に掲載された記事を原文のまま転載する形式により、紫波町の歴史や人物について読み物風に紹介しています。
(第1回昭和37年3月号から第201回昭和56年4月5日号まで掲載)
そのため、現在においては不適切とされる表現や歴史認識がある場合がありますのでご了承願います。

『八郎太郎』昔話と伝説(1)

昔、八郎太郎という力の強い大男がありました。
ある日、八郎太郎は、二人の友だちと山王海にきてマダのかわはぎをしていました。
ふと、マダの木の上から下の川を見ると、三匹の大きなイワナがおよいでいました。そこで八郎太郎は、これをとらえて一人で焼いてたべてしまいました。
ところが、ふしぎなことに、急にのどがかわいてきました。そこで、川の水を思いっきりのみましたが、のんでものんでものどのかわきはなおりません。それでもなおのみ続けている間に、川の水はカラカラに枯れてしまいました。
困りはてた八郎太郎は、国見山と烏帽子山の間(今のダムのあるところ)をせきとめて山王海盆地を湖とし、自分はそこの主になろうと考えました。湖の中にいたらのどのかわきもとまるだろうと思ったからです。そこで、あたりの地質を調べてみたら、金山沢方面の地盤が弱いため、湖をつくってもすぐ欠壊してしまうことがわかりました。
八郎太郎は、どこか適当な場所がないものかと方々さがしましたが、その結果、北上川を七久保の裏でせきとめることにしました。
そこで、東根山のてっぺんをもぎとり、それをかついで北上川のそばまでいきました。ところが、向かいの森にたくさんの犬があらわれて、一せいにほえついてきました。びっくりした八郎太郎は、東根山のてっぺんをその場に投げすてて、一目散に北の方へ逃げていきました。
その時、犬の吠えた森が犬吠森であり、その犬が尾をまいていたところから、大巻の地名が生まれたといわれます。また、東根山の頂上が平になっているのは、その時もぎられたためだといい、それを捨てていったのが今の城山だという話です。
この昔話は、岩手・秋田の両県にわたって方々に伝えられていますが、紫波町内では、佐比内の鴨目田付近をせきとめようとした話があります。
−−−佐藤 正雄(故人)−−−

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