第2号「紫波町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し」

1.背景

紫波町では、農業経営者の高齢化や後継者不足に伴う担い手の不足が深刻化しており、今後、年齢別の構成比で多くを占めている65歳以上の農業経営者のリタイヤに伴い、急激に担い手が減少していくと見込まれます。

認定農業者は、規模拡大を続けながら経営を継続しているものの認定農業者自体も新規認定者が少なく高齢化が進行しています。

今後もこのような傾向で推移すると予想され、将来的に農地は供給過剰になるものと予測されます。

2.目的

産業政策監調査研究報告第1号「紫波町認定農業者の定量分析と農地の需要見通し」では、紫波町の農地の需要者である認定農業者の状況を定量的に分析しながら、農地の需要見通しを明らかにしてきました。

本稿では、今後の農業経営体の減少と離農に伴い供給される農地面積を予測するとともに、認定農業者の規模拡大目標面積の合計値と照合し、2030年の農地の需給状況を予測することを目的としています。

また、人・農地プランの実質化に向け、必要となる各種情報を提供するために、産業政策監として整備してきたデータベースの内容と活用場面を紹介するとともに、今後、大量に供給されてくる農地を有効活用していくために紫波町で取り組んでいるリーディング・プロジェクトを紹介します。

3.方法

将来の農業経営体数と離農によって供給される農地面積の予測値は、国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 農業情報研究センター寺谷「AIによる農業経営体数予測モデルによる研究」の成果を用いています。

4.概要

本報告書は、1章から3章までの構成となっています。

1章では、供給側の予測として、農業経営体数と離農に伴い供給される農地面積の予測値を示します。また、町内各地区の特性と予測値が一致しているか、妥当性についての検証を行います。

2章では、需要側の予測を行うため、認定農業者の現状と経営改善計画の目標から、今後の規模拡大による農地の需要の増加について、試算を行います。その結果から、1章で求めた供給側との需給状況を示します。

続く3章では、人・農地プランの実質化に向けて、多数の情報を組み合わせながら、地域農業振興のあり方を検討するために整備した各種データベースと各種データを活用する場面を紹介します。

また、今後、多量に供給されてくる農地を有効活用するために紫波町で取り組んでいるリーディング・プロジェクトを紹介します。

5.要約

(1)AIを用いた農業経営体数予測モデルの予測結果

農業情報研究センター 寺谷諒氏「AIによる農業経営体数予測モデルに関する研究」から提供を受けた予測値によると、紫波町の農業経営体数は、2015年の1,344経営体から2030年には、727経営体(54%)に減少します。離農に伴い出てくる供給農地は、農地全体で871.6haであり、2015年の農地全体面積2,434haの36%となっています。予測モデルの地区(旧町村)ごとの重要度の高い変数と順位は、地区の農業条件を適切に反映した結果となっていました。

(2)認定農業者の経営拡大目標面積

認定農業者が経営している現状の経営農地の合計面積は、1,742.2ha、目標の経営農地の合計面積は、2,084.9haであり、認定農業者は経営農地面積を、342.7ha増加する計画となっています。

(3)農地の需給予測

離農に伴い供給される農地の予測値は、町全体で2020年に322.2ha、2025年に612.6ha、2030年に871.6haです。認定農業者の拡大目標面積は343haであることから、供給農地から認定農業者の拡大目標面積を引いた供給過剰農地面積は、2020年は、-20.8ha、2025年は、269.6ha、2030年は、528.6haと2025年以降農地の供給が過剰になると予測されます。

2030年の地区ごとの農地供給過剰率は、古館地区38%>赤沢地区34%>佐比内地区33%>日詰地区25%>彦部地区24%>長岡地区23%>志和地区16%>赤石地区13%>水分地区2%となっています。

(4)人・農地プランの実質化に向けた各種データの活用方法

人・農地プランの実質化に向けて必要な情報を効率的に提供するために産業政策監で整備してきたデータベースは、1.認定農業者関係データベース、2.2015年農林業センサス紫波町旧町村別データベース、3.人・農地プラン作成資料ナビです。

これらのデータベースを活用することにより、地域の農業の特徴、中心経営体の経営状況、県内の先行事例を参考にしながら、今後の地区の地域農業のあり方を検討することができます。

(5)農地を有効活用するためのリーディング・プロジェクト

紫波町では、今後、離農により大量に供給されてくる農地を有効に活用するための農業振興策として先導的な役割を果たす、1.子実用トウモロコシの産地化、2.地域の農地を一元的に管理する一般社団法人の設立、3.農業体験農園の設置の3つのリーディング・プロジェクトに取り組んでいます。


 


 

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紫波町紫波中央駅前二丁目3-1
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