町長所信表明演述(令和8年2月27日)最終更新日:2026年02月28日
はじめに
令和8年紫波町議会3月会議が開催されるに当たり、町政運営に臨む私の所信の一端を申し述べ、町民の皆様並びに町議会の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。昨年、町制施行70周年という大きな節目を迎えた本町にとりまして、令和8年度は次なる時代へと歩みを進める第一歩の年であります。
また、本年は丙午(ひのえうま)に当たり、物事が一気に動き出し、新たな段階へと飛躍していく力を秘めた年であるとされています。
困難や変化を恐れるのではなく、自らの意思と行動によって未来への道を切り拓くことが、今まさに私たち一人ひとりに求められております。
私は、この丙午(ひのえうま)の力強い流れを追い風とし、新たな挑戦に果敢に踏み出しながら、町政が実り多い飛躍の年となるよう、全力を尽くしてまいります。
国内に目を向けますと、社会的、経済的、さらには国際的な要因が重なり、依然として物価高騰が続いており、国民生活はもとより、地域経済や事業活動にも大きな影響を及ぼしている状況であります。とりわけ、日々の暮らしに直結する分野における負担の増大は、将来への不安を生み出しており、決して看過することのできない課題であります。
こうした状況を踏まえ、国の令和7年度補正予算による重点支援地方創生臨時交付金の活用をはじめ、本町の実情に即した支援や対策を着実に講じることにより、町民の皆様が安心して暮らし、働き続けることのできる環境を守ってまいります。
本町におきましては、次世代を担う子どもたちの「生きる力」を育むことを町政の基本に据え、子育てや教育環境の充実に取り組んでいるところであります。
子育てと教育環境を整えることは、人口減少への対応であると同時に、将来にわたり本町が持続的に発展していくための礎といえます。
2020年の国勢調査人口と2025年の推計人口から算出した直近5年間の人口維持率を見ると、本町は97.81%であり、若干の人口減少はあるものの、減少の比率は県内市町村の中で北上市の98.42%に次いで2番目であります。現在、急激な人口減少に至ってはおりませんが、将来的に、現在よりも人口規模が小さくなったとしても、多様性に富み、成長力を備えた町を築いていく必要があると私は考えております。
そして、私が何よりも大切にしたい本町の魅力は、他ならぬ「ここに暮らす人」であります。すべての世代がそれぞれの役割を持ち、輝きながら、安心して暮らし続けることのできる「希望のまち紫波」を実現するため、対話を重ね、町民の皆様が持つ「地域力」を原動力として、共に町を創り上げてまいります。
令和8年度の町政の方針及び重点施策について
それでは、令和8年度の町政の方針及び重点施策について7つの項目に分けてご説明申し上げます。(1 コミュニティ・福祉)
初めに、コミュニティ、福祉についてであります。宅地造成が進む町中央部と、高齢化が進行する東部及び西部、それぞれの地域が抱える課題や暮らしの姿は大きく異なっております。
こうした中で、一人ひとりの暮らしに寄り添ったまちづくりを進めていくためには、地域住民の皆様の力である「地域力」が不可欠であります。あらゆる世代が地域の中で、元気に、そして安心して暮らし続けることができるよう、「地域運営組織」を中心とした課題解決の取組を支援してまいります。
また、医療や福祉、介護に関わる関係団体との連携を一層強化し、健康づくりや地域交流、スポーツ・文化活動を取り入れた「地域福祉」の充実を図ることにより、ウェルビーイングの実現を目指してまいります。
(2 食・農)
2つ目は、食と農についてであります。本町の基幹産業である農業につきましては、国や県の動向を的確に捉えながら農地の大規模化を進め、「稼げる農業」の実現を目指してまいります。
多様な主体と連携を図り、「フルーツの里」としての歴史と魅力の継承、発展を進めるとともに、米農家の経営効率化や協働化、畜産農家の安定経営を後押しし、持続可能な農業の確立を図ってまいります。
また、兼業農家や「農ある暮らし」といった、多様で再生可能な農業の在り方にも光を当て、種まきから収穫、そして食卓までの流れを一体の「農」として捉え、食べる喜びとともに、農の大切さを次世代へ丁寧に伝えてまいります。
これらの取組を着実に進めるため、若者、移住者、新規就農者を育成・支援する「食と農の育成学校」の設立に向けた準備を進めてまいります。
鳥獣被害対策につきましては、地域ぐるみで防止に取り組む体制を強化し、安全で安心な農地環境の保全に努めてまいります。
(3 なりわい・暮らし)
3つ目は、なりわいと暮らしについてであります。本町は、都市の利便性と農村の豊かさが調和するまちであるとともに、盛岡や北上方面への通勤・通学に依存するベッドタウンとしての側面を有しております。このため、「働く場」の確保に加え、女性や若者が活躍し、暮らしと結びついた仕事を地域の中で生み出していくことが求められております。
地元の商工業を大切にしながら、地域産業の担い手確保を支援するとともに、企業誘致による雇用の場の創出に加え、起業、副業、地域ビジネスなど、多様な働き方を支援してまいります。
なりわいが続いていくことこそが、持続可能なまちの実現につながるとの考えのもと、世代を超えて人と知恵がつながる魅力ある産業の振興に努めてまいります。
若者や女性の定住・移住を促進し、空き家や空き店舗の活用など、「欲しい暮らしは自分でつくる」という挑戦を応援してまいります。
(4 インフラ・防災)
4つ目は、インフラと防災についてであります。鉄道交通の要である紫波中央駅につきましては、本町の重要な交通拠点としての機能を一層高めるとともに、日詰商店街との回遊性を向上させるため、紫波中央駅東口通路の整備について、東日本旅客鉄道株式会社と緊密に連携しながら、着実に推進してまいります。
また、国道や高速道路の利点を最大限に生かしつつ、適正な土地利用の誘導により、地域の特性に応じた均衡ある発展を図るとともに、将来を見据えた計画的な道路等のインフラの適切な維持・管理により、子どもから高齢者まで、誰もが安全で快適に暮らすことのできる生活環境の整備に努めてまいります。
さらに、全国各地で自然災害が頻発する中、消防団や自主防災組織など、地域防災の要となる組織との連携を深め、地域全体の防災力の向上を図ることにより、町民の皆様が安心して暮らしていけるまちづくりを進めてまいります。
(5 循環・環境)
5つ目は、循環と環境についてであります。本町は、平成12年に「新世紀未来宣言」を発表し、100年後の子どもたちにより良い環境を引き継ぐことを目指し、循環型のまちづくりを進めてまいりました。これまでの取組を礎とし、生活環境を守りながら3Rを推進し、ごみの資源化や再生可能エネルギーの導入、さらには森林整備と森林資源の活用を通じて、地球温暖化対策と産業振興を一体的に進めてまいります。
今後も、「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現を目標に掲げ、森林整備や地域資源を生かした取組を着実に進め、脱炭素社会の実現に向けた施策を一歩一歩積み重ねてまいります。
(6 こども・子育て)
6つ目は、こどもと子育てについてであります。近年、町中央部では宅地開発が進み、子育て世代の定住により新たなまちの姿が形成されつつあります。こうした変化の中で、子どもを安心して育てられる環境を整えるためには、児童施設の充実を図るとともに、家庭、地域、学校が一体となり、成長を支える体制づくりが不可欠であります。
令和8年度におきましては、新たに5歳児健診を実施するとともに、「こども誰でも通園制度」を導入し、子育て支援の充実を図ってまいります。併せて、幼稚園・保育所と小学校との連携を強化し、切れ目のない教育・保育体制の構築に取り組んでまいります。
学校教育につきましては、子どもたち一人ひとりの可能性を伸ばす教育環境の充実を基本に、教育の質の向上に努めてまいります。特に、学習用端末の計画的な更新を進め、ICTを活用した学びの充実と情報活用能力の育成を図るとともに、配慮を要する児童生徒への教育支援体制を強化し、誰一人取り残されない教育の実現を目指してまいります。
学校給食につきましては、子育て世代の負担軽減を図るため、小学生の給食費を無償化いたします。また、令和9年度の新学校給食センター供用開始に向けて、「安全・安心でおいしい学校給食の提供」という整備基本方針を実現するべく、整備に着手いたします。
これらの取組を通じ、若い世代が学校や地域で多様な学びを得て、「将来、地元に帰ってきたい」「紫波に帰ってきたい」と思える教育環境を築いてまいります。子育てと教育の基盤を強化することにより、多様性と成長力に満ちた町の実現を力強く進めてまいります。
(7 健全な財政)
7つ目は、健全な財政についてであります。本町の財政状況は、決して楽観できるものではなく、今後におきましても「身の丈に合った事業展開」が強く求められております。限られた財源の中にあっても、オガールプロジェクトで培ってまいりました「稼ぐインフラ」の発想を生かしながら、町の魅力ある資源を積極的に発信し、ふるさと納税などの制度を効果的に活用することで、活力と魅力あるまちづくりのための財源の確保に努めてまいります。
また、民間の投資やノウハウを積極的に取り入れ、必要な事業を効率的に進めるとともに、事業の見直しを行い、「必要最小限のコストで最大限の効果」が発揮できる行政運営を進めてまいります。
さらに、デジタル技術を積極的に活用することにより、職員の負担軽減と業務の効率化を図り、町民の皆様にとって本当に必要な施策を着実に実行してまいります。将来の成長につながる「やるべきこと」を見極めながら、持続可能で健全な財政運営に取り組んでまいります。
新年度予算の見込み
それでは、本3月会議に提出しております令和8年度当初予算案についてご説明申し上げます。令和8年度予算は、子ども・子育て給付事業や障害者自立支援事業、障害児給付事業など、保育や障害者等への給付が増加したことにより扶助費が大きく増加しております。また、新規事業として、児童生徒及び教職員向けの学習用情報機器購入、乳児等通園支援事業、こども計画策定調査業務など、子育て支援や教育環境の充実を図るための事業に対し重点的に予算を配分しております。
普通建設事業は、継続事業として日詰商店街のせせらぎトイレ整備事業、ノウルプロジェクト関連施設整備事業、紫波中央駅東口都市整備事業を予算化したほか、繰出金として昨年度新設した再生可能エネルギー特別会計への繰出しを新規に計上しております。
歳入につきましては、地方交付税が対前年度比2億6千9百万円増額の47億3,960万円、町税は対前年度比6,462万8千円増額の37億243万9千円を見込んでおります。
財政調整基金繰入金は、対前年度比2億4,242万8千円減の2億4,270万1千円となっており、令和8年度末残高は予算ベースで6億5,535万2千円の見込みであります。
予算規模といたしましては、一般会計は165億470万9千円で、対前年度比6億2,513万2千円、3.6%の減少となっております。また、一般会計に5つの特別会計と1つの企業会計を合わせた予算総額は266億3,985万6千円となり、対前年度比6億3,685万7千円、2.3%の減少となっております。
令和8年度の主な施策について
次に、令和8年度の主な施策について、ご説明申し上げます。第三次総合計画の5つの分野別方針に沿って、具体的な施策を述べてまいります。
1 誰もがその人らしく健やかに暮らせるまち
はじめに、誰もがその人らしく健やかに暮らせるまちづくりについてであります。感染症の流行や自然災害の発生などに対応し、住民の健康や暮らしの安心をしっかりと守り維持することが求められております。
また、人口減少の影響は、地域のつながりや支え合いの仕組みにも及び、地域社会の在り方そのものを見直す動きが各地で始まっております。
このような状況を踏まえ、保健、医療、介護、福祉など分野を越えた包括的な支援体制を構築し、すべての住民が支え合い、つながり合う地域共生社会の実現を目指してまいります。
生涯を通じて、より健康に過ごすことができるよう、各種健診や保健指導を通じて、疾病の早期対応、生活習慣病の重症化予防に取り組んでまいります。このことを通じて、医療費の増加傾向を抑制し、医療費の適正化に努めることにより、国民健康保険及び後期高齢者医療保険における特別会計の健全化を図り、利用者の負担に十分配慮しながら、安定的な事業運営に取り組んでまいります。
また、予防接種事業につきましては、乳幼児期から高齢者までを対象に、適時適切な接種ができるよう情報提供しながら進めてまいります。
昨年4月に設置したこども家庭センターにおきましては、母子保健事業と児童家庭相談の充実に取り組んでおります。妊娠期から子育て期まで切れ目のない伴走支援を行うことにより、心身ともに健やかに成長する子どもと、子育て世帯への支援を進めてまいります。
高齢者施策につきましては、介護保険サービスの質の確保に努めるとともに、給付と負担のバランスに配慮した安定的な制度運営を行ってまいります。あわせて、介護予防や生活支援の充実を図り、医療と介護の連携強化で、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることのできる地域包括ケアシステムの構築に取り組んでまいります。
令和8年度に策定する第10期介護保険事業計画におきましては、町民の声や地域の実情を丁寧にくみ取り、将来を見据えた実効性のある計画となるよう、策定を進めてまいります。
障がい福祉につきましては、それぞれの障がいの特性に応じた必要なサービスが適切に提供され、誰もが自分らしく生活でき、個人の権利や尊厳が守られる地域社会の実現を目指してまいります。
地域福祉につきましては、社会福祉協議会や民生児童委員をはじめとする関係者・関係団体と連携し、生活上の困難のみならず、喜びや幸福感も共有しながら、ともに課題解決に取り組むことのできる地域共生社会の実現に努めてまいります。
2 豊かな環境と町の魅力を生かしたなりわいがあるまち
第2に、豊かな環境と町の魅力を生かしたなりわいがあるまちづくりについてであります。本町の産業は、豊かな自然環境と、その中での営みを紡いできた人々の知恵と努力によって支えられております。これまで本町が進めてきた循環型まちづくりの歩みを礎とし、住む人が生き生きと、そして誇りをもって仕事に携われる環境を整えるため、各分野において施策を着実に展開してまいります。
農業振興につきましては、第一に、相談・指導体制の強化による農業経営の安定化に取り組んでまいります。これまで本町が関係団体と連携して構築してきた、認定農業者や新規就農者に対する伴走型支援及び経営相談体制を継続・徹底するとともに、単なる継続にとどまることなく、個々の農家が抱える課題に対し、より専門的かつ多角的な助言を適時適切に行うことができるよう、関係者間の情報共有の精度を一層高めてまいります。
第二に、生産効率を最大化する経営基盤の確立を図ってまいります。農地の集約化・大区画化を柱とする圃(ほ)場整備を戦略的に推進し、作業の効率化と労働負担の軽減を図るとともに、人手不足を補い、生産性を高めるための高度な農業機械の導入やスマート農業の活用を支援し、個々の経営体のみならず、地域全体としての生産能力の底上げに努めてまいります。
第三に、持続可能な経営体への体質強化を図ってまいります。社会情勢の変化や国際情勢に左右されにくい、持続的な農業経営への転換が求められている中、資材価格高騰という厳しい環境下にあっても、コスト低減に向けた取組への支援や、高収益作物の導入を推進し、農家の所得向上につながる「稼げる農業」への構造転換を図ってまいります。
有害鳥獣対策につきましては、新たに鳥獣被害対策専門員を採用し、対策の強化を図るとともに、これまで同様、鳥獣被害対策実施隊やサポート隊と連携し、地域ぐるみで防除及び被害防止に取り組んでまいります。また、近年出没が相次いでいるツキノワグマへの対策につきましては、昨年末に策定した「紫波町クマ等出没時対応マニュアル」に基づき、緊急銃猟対応を含め、町民の安全確保を最優先に、万全を期してまいります。
森林・林業振興につきましては、森林資源が将来にわたり循環するよう、木を植え、育て、使う、という各段階における取組を着実に進め、森林が持つ多面的機能を最大限に生かしてまいります。森林環境譲与税を活用し、経営管理権を取得した森林の整備等を進めることにより、森林資源の循環利用と地域産業の振興の両立を図ってまいります。
脱炭素社会の実現に向けては、脱炭素先行地域事業の根幹事業であるメタン発酵バイオガス発電施設の整備を完了させ、エネルギーの地産地消を一層推進してまいります。脱炭素先行地域事業等にも引き続き取り組み、水分・新山地区をはじめ、町全域においてCO₂排出量実質ゼロを目指した取組を進めてまいります。
ごみ施策につきましては、ごみを資源として捉える資源循環の取組を継続し、焼却ごみの削減を図り、また、盛岡広域におけるごみ処理体制の構築につきましては、構成市町として、着実に推進するよう努めてまいります。
商工業の振興につきましては、紫波町中小企業振興条例に基づき設置した中小企業振興会議において議論し、整理された振興施策を着実に実行してまいります。人材不足をはじめとする多くの課題に直面する中小企業の経営基盤の強化を図るとともに、日詰商店街せせらぎトイレの建て替えを行い、中心市街地の利便性向上に努めてまいります。
観光交流の促進につきましては、温泉保養公園再整備基本構想に基づき、温泉保養公園の魅力再構築を最優先課題として取り組んでまいります。再整備に着手するにあたり、まずはラ・フランス温泉株式会社の経営改善の道筋を明確にし、将来にわたり町内外の皆様から愛され、満足していただける温泉保養公園となるよう、関係者と連携しながら全力で取り組んでまいります。
企業誘致につきましては、現在交渉中の企業や相談を寄せていただいている企業のニーズを的確に把握し、きめ細やかな対応を行うことで、企業立地の実現を図り、町内における雇用の場の拡大につなげてまいります。
物価高騰対策につきましては、物価高の影響を受けている消費者及び事業者に対し、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を効果的に活用し、本町の実情に即した支援策を速やかに講じてまいります。
ふるさと納税制度を活用した地域振興につきましては、ふるさと納税返礼品の開発をはじめとした販路拡大に取り組むことにより、町内事業者の魅力や強みを町内外に発信し、経営基盤の強化につなげてまいります。
本町が子育て世代から居住地として選ばれている現状を踏まえ、引き続き移住・定住の促進に取り組むとともに、地元への定着を促進するための出会い支援事業を進めてまいります。
また、地方創生関連プロジェクトとして、バレーボールを通じた地域活性化に引き続き取り組むほか、地域おこし協力隊制度を活用し、地域の魅力向上と担い手の確保を図ってまいります。
3 自然と調和した安全で快適なまち
第3に、自然と調和した安全で快適なまちづくりについてであります。町民一人ひとりが、日々の暮らしの中で安心と快適さを実感しながら生活していくためには、良好な住環境の確保と都市機能の充実が不可欠であります。
駅周辺施設などの交通環境整備を進め、日常生活における利便性の向上を図るとともに、防災・防犯・交通安全に関する各種対策に着実に取り組んでまいります。
町民の暮らしを支える道路や河川につきましては、社会基盤としての機能を将来にわたり維持していくため、計画的かつ効率的な維持・管理に努めてまいります。
道路整備につきましては、老朽化が進む舗装や橋梁の長寿命化対策として、日詰水分線の舗装修繕工事や、新山跨道橋及び漆立跨道橋の橋梁補修工事を着実に進めてまいります。
通学路の安全確保につきましては、改良すべき踏切道(ふみきりどう)の指定を受けている喜代治踏切の改築を進めるほか、古館地区内におけるゾーン30プラスの導入について、関係機関と緊密に連携しながら取り組んでまいります。
また、交通量の多い西部開拓線につきましては、県道昇格の実現に向けて、関係市町と連携を図りながら、要望活動などの働きかけを強化してまいります。
あわせて、県が管理する県道228号佐比内彦部線の改築、太田川の改修、国が管理する国道4号高水寺北交差点の右折レーン設置及び北上川の築堤工事につきましても、早期完了を目指し、引き続き関係機関との連携を図ってまいります。
都市計画事業につきましては、昨年度着手した紫波中央駅東口通路を含めた駅前広場の整備を着実に進め、交通結節点としての機能向上と、日詰商店街の玄関口としての利便性向上につなげてまいります。
良好な住宅・居住環境の維持・保全につきましては、「都市計画マスタープラン」及び「立地適正化計画」を土地利用の基本指針とし、適正な土地利用の誘導を図ってまいります。また、日詰駅前地区周辺の都市計画道路北日詰箱清水線の整備に着手し、地域内交通の利便性と安全性の向上に取り組んでまいります。
空き家対策につきましては、民間事業者との連携を強化しながら、利活用と適正管理の両面から取組を進めてまいります。
さらに、耐用年数を経過した町営住宅の建替えにつきましては、民間活力を導入した借上げ方式により順次進めてまいります。
下水道事業につきましては、本議会に提出しております汚水処理基本構想、公共下水道全体計画及び第2期下水道事業経営戦略に基づき、下水道普及率の向上に努めるとともに、ストックマネジメント計画に基づく施設の計画的な更新を行い、安定した下水道サービスの継続的な提供を図ってまいります。
また、公共下水道雨水管理総合計画に基づく浸水対策として、引き続き日詰3号幹線の整備を進め、溢水(いっすい)リスクの軽減に取り組んでまいります。
水道事業につきましては、町が管理する簡易給水施設等の岩手中部水道企業団への統合について、協議を一層進め、将来にわたり安全で安定した水の供給体制の構築を目指してまいります。
町民の生活に欠かせない公共交通につきましては、利用が好調なデマンド型乗合バス「しわまる号」を中心に、鉄道や路線バスと組み合わせた利用の促進を図り、誰もが移動しやすい交通環境の充実に努めてまいります。
一方で、町内におけるタクシー不足により、通院や買い物、夜間の飲食時などの移動に不便を感じているとの声が多く寄せられております。このことから、本年度実証実験を行った公共ライドシェア事業を引き続き実施し、タクシー事業者と連携しながら、まずは夜間の公共交通の確保を目指してまいります。
災害に強いまちづくりにつきましては、ハザードマップを更新し、いざというときに町民の皆様が自ら命を守る行動が取れるようにしてまいります。また、正しい防災知識の普及を図るとともに、自主防災組織などによる地域防災体制の一層の充実に取り組んでまいります。
消防活動につきましては、令和7年の火災発生件数が1件と、町制施行70年の中で最少であったことを踏まえ、今後も消防署及び消防団等と連携しながら、火災のないまちづくりを推進してまいります。
交通安全活動につきましては、昨年、2件の交通死亡事故が発生いたしました。引き続き、警察や交通安全関係団体と連携しながら、交通事故のないまちづくりに全力で取り組んでまいります。
また、防犯活動につきましても関係機関及び関係団体との連携を一層深め、犯罪のない、誰もが安心して暮らせる地域社会の実現を目指すとともに、犯罪被害にあわれた方への支援を行ってまいります。
4 郷土を愛し未来を切り拓く人に満ちたまち
第4に、郷土を愛し未来を切り拓く人づくりについてであります。本町は、「郷土を愛し未来を切り拓く人づくり」を理念として掲げ、町民一人ひとりの学びと成長を支える教育施策を総合的に推進しております。将来のまちを支える子どもたちの健やかな成長を最も重要な基盤と位置づけ、切れ目のない子育て支援の充実と、多様化する家庭のニーズに応じた環境整備を進めてまいります。
また、赤石小学校につきましては、本年4月1日の供用開始に向けて校舎増築工事を進めております。引き続き、安全・安心で、より良い教育環境の確保に努めてまいります。
学校教育におきましては、小中一貫教育と学校運営協議会制度を柱とし、ICT環境の整備や校務支援システムの活用など、教育DXを推進してまいります。この取り組みにより、教育の質の向上と教職員の負担軽減を両立させ、児童生徒が将来を切り拓くために必要な資質・能力を育む教育環境を整えてまいります。また、部活動の地域展開につきましても、関係者の皆様と連携しながら、段階的かつ着実に進めてまいります。
生涯学習につきましては、社会の変化や価値観の多様化に対応し、文化・スポーツの振興を図るとともに、町民が主体的に学び、地域で活躍できる環境づくりを進めてまいります。公民館をはじめとする学びの拠点の充実を図りながら、スポーツ施設の活用による交流の促進、文化財の調査・保存・普及、さらには伝統文化の継承にも力を注ぎ、郷土の魅力を次世代へ確実に引き継いでまいります。
町民一人ひとりが生きがいを持ち、心豊かに暮らすことのできる社会の実現に向け、子どもから大人までが地域と関わり合いながら成長できるまちづくりを、今後も力強く推進してまいります。
5 多様性とつながりのある暮らし心地の良いまち
第5に、多様性とつながりのある暮らし心地の良いまちづくりについてであります。本町における協働のまちづくりや地域コミュニティにつきましては、それぞれの地域の将来像や在り方について、その地域住民自らが話し合う場が生まれ、地域運営組織等の形成が着実に進んでおります。
古館地区においてはNPO法人が設立され、また、彦部、佐比内、赤沢、長岡の各地区におきましても、地域運営組織の設立に向けた準備会が立ち上がり、地域の実情に即した活動が始まっております。こうした動きを大切にしながら、各地区における話合いの熟度や地域の特性に応じて、地域づくり指針に基づき、担い手となる人材を育成するとともに、町民による多様な活動がさらに促進されるよう、継続的かつきめ細やかな支援を行ってまいります。
行政区及び行政区長制度の在り方につきましては、社会情勢の変化や地域を取り巻く環境の変化を踏まえ、地域の実情に即した持続可能な制度となるよう、今後の方向性について丁寧に検討を進めてまいります。
共生社会の形成につきましては、紫波町第3次男女共同参画推進計画に基づき、性別にかかわらず、人と人とが互いの意思や立場を尊重しながら自立し、支え合い、いきいきと暮らすことのできる社会の実現を目指してまいります。多様性を認め合い、それぞれが安心して自分らしく暮らせる地域社会の形成に向け、啓発や取組を着実に進めてまいります。
地域のデジタル化につきましては、情報交流館におけるITサポートコーナーの設置や、民間事業者と連携した移動デジタル相談の実施などを通じて、町民の皆様がデジタル技術を身近に感じ、日常生活に活用できるよう支援してまいります。
また、町政情報につきましては、広報紙、町ホームページ、町公式LINE(ライン)など、多様な情報発信手段を活用し、暮らしに必要な情報を、分かりやすく、速やかにお伝えしてまいります。
あわせて、情報交流館や図書館などの拠点施設を活用しながら、町民の「知りたい」「学びたい」という思いに応えるとともに、人と人とが自然につながり合う場づくりを進め、地域における交流と学びの輪の広がりを支援してまいります。
行財政運営
最後に、行財政運営についてであります。行政組織につきましては、複雑化・多様化する住民ニーズに的確に対応し、町民一人ひとりに寄り添った、よりきめ細やかな行政サービスを提供していくことが求められております。
私は就任に際し、「人を大事にする」「場を大事にする」「学びを大事にする」、この三つを町政運営の基本とし、「共に創る、希望のまち紫波」と「暮らし心地の良いまち紫波」の実現に向けて力を合わせて取り組んでほしいということを職員に対して訓示いたしました。
これらの実現のため、引き続き職員の人材育成や新たな人材の確保に取り組むとともに、定年年齢の引き上げに伴い配置される高齢職員の豊富な知識と経験を生かし、組織全体の力を高める体制づくりを進めてまいります。
政策形成過程におきましては、ロジック・モデルを基本とした政策立案を行うとともに、内部統制による適正な事務処理の強化を図ってまいります。さらに、職務の執行に当たっては、コンプライアンスの確保に努めることにより、公正で信頼される行政運営を引き続き推進してまいります。
町のDX推進につきましては、これまで、紫波町DX推進基本方針に基づき、町民目線でのサービス向上と、デジタル技術を活用した業務の効率化に積極的に取り組み、書かない窓口やキャッシュレス決済の導入、町公式LINE(ライン)の機能拡張などを行ってまいりました。
今後は、住民異動や医療関連をはじめとした各種手続きが、より簡潔で使いやすくなるよう、マイナンバーカードの一層の普及と、その機能を活用できる環境の拡充を図り、町民にとって便利で優しい暮らしの創出に努めてまいります。
町財政につきましては、令和6年度から企画課内に「ふるさと納税係」を設置し、取組を進めてきた結果、ふるさと納税額は順調に伸びてきております。今後も、企業版ふるさと納税やガバメントクラウドファンディングなど、共感資本による応援をいただきながら、多様化する行政需要に的確に対応してまいります。
一方、歳出につきましては、学校給食センター建設などの大型事業に加え、社会保障関係費やこども政策費の増加が見込まれるほか、物価高騰に連動した人件費の増加等により、経常経費の増大が続くなど、厳しい財政状況が想定されます。これまで築いてきた良さを大切にしながら、時代に合わせて変えるべきところは勇気をもって見直し、効率的・効果的な行政運営を行い、将来にわたり安定した行財政運営を目指してまいります。
むすびに
以上、令和8年度の町政運営にあたっての基本方針と重点施策について申し述べてまいりました。本町の「第三次総合計画後期基本計画」は折り返しの年を迎え、また、「第3期まち・ひと・しごと創生総合戦略」も着実に進捗しております。私たちが掲げる「暮らし心地の良いまち、紫波町」の実現に向け、町政運営に全力で取り組んでまいります。
本町には、豊かな自然、農の営み、そして人と人との温かなつながりという、かけがえのない財産があります。これまで先人の皆様が築き上げてきた紫波の良さを大切に守り育てながら、町民の皆様との対話と共創を重ね、一歩一歩、着実に前へと進んでまいります。
町民の皆様一人ひとりが主役となり、世代を超えて支え合い、共に未来を描いていくことが、本町の持続的な発展につながるものと確信しております。
議員各位をはじめ、町民の皆様におかれましては、今後の町政運営に対し、より一層のご理解とご協力を賜りますとともに、ご指導、ご鞭撻(べんたつ)を賜りますよう心よりお願い申し上げまして、私の所信表明といたします。
