「ちがい」を「チカラ」に変えるまちづくりワークショップを開催しました最終更新日:2025年12月09日
私たちが普段、何気なく生活する中には、性別によって役割が決められていたり、選択が制限されていたりする場面があるかもしれません。こうした違いに目を向けてみることが、誰もが自分らしく暮らせる町につながります。
地域の皆さんと一緒に、そんな身近な違いを考えるため、「ちがい」を「チカラ」に変えるまちづくりワークショップを開催しました。
当日の様子や意見交換の内容をご紹介します。
開催概要
日 時:令和7年11月2日(日) 13:30~15:30会 場:情報交流館 2階 大スタジオ
参加者:24名(中学生~70歳代)
内 容:
「私たちの身近にある性別による役割分担や選択の違い」をテーマに、身の周りで役割が決められていたり、選択が制限されていたりする場面を挙げ、それが「どう変わるといいか」「変わるには何が必要か」について意見交換しました。
当日の様子
《導入》
はじめの30分間は、今回のワークショップのテーマである「私たちの身近にある、性別による役割分担や選択のちがい」について理解を深めてもらうため、講話を行いました。「紫波町のまちづくり」 講師:紫波町企画総務部企画課 森川高博課長
今回のワークショップの目的や町が目指す将来像、町の男女共同参画に関する取り組みについてお話ししました。

「『変化と多様性に開かれた地域づくり』を男女共同参画の視点でとらえる」
講師:富士大学 経済学部 准教授、紫波町男女共同参画推進委員会 委員長 内城寛子氏
ジェンダーとはなにか、ジェンダーに関する日本の現状についてお話しいただきました。

参加者の皆さんは興味深く耳を傾けており、講話の内容はその後の意見交換のヒントにもなっていました。
《ワークショップ》
ファシリテーター:岩手県男女共同参画センター センター長、紫波町男女共同参画推進委員会 副委員長 山屋理恵氏

「働く・暮らす」「学ぶ・育てる」「楽しむ・遊ぶ」「地域・防災」の4つの分野でグループ分けし、意見交換をしました。


意見交換① 現状
まずは、日常の中で性別によって役割や選択が違う場面を共有。
何気なく生活している中にもたくさんの違いがあることに気づきました。

意見交換② 「これからどうなったらいい?」を考える
次に、その違いが「どう変わるといいか」「こうなるといい」「こうしていきたい」を話し合いました。
世代も立場も違う参加者同士だからこそ、さまざまな視点が飛び交いました。

《発表》
意見交換の後、各班で意見交換した内容を発表していただきました。参加者からは「あぁ~、たしかに」「なるほど」など、他のグループの発表から気づきを得る様子がみられました。

各グループの意見
■働く・暮らす〈現状〉
・医師は男性、看護師は女性が多い
・サービス業や接客業は女性が多い
・養護教諭は女性が多い
・工事現場で働くのは男性が多い
・女性の正職員の割合が男性より低い
・お茶出しは女性の役割
・組織のリーダーは男性が多い
・力仕事は男性がやる
・デートDVは女性視点で考えられがち
・男って子どもっぽいと言われる
〈これからどうなるといい?〉
・みんながそれぞれできること、得意なことをやる
・性別に関係なく、評価や昇進できる社内制度がある
・性別による差別、固定観念をなくしていく
・男性も育児休暇が取得しやすくする(上司がとると取りやすい)
・働く人の声を聞き、それを発信する
・組織の役割や意義を見直す
・ジェンダーについて考える機会を作る

■学ぶ・育てる
〈現状〉
・男子・女子によって体育の選択科目が異なる(男子は剣道・柔道、女子はダンス)
・性別で髪の長さに関する校則が違う
・水泳の授業で男子はプールサイドで着替えている
・ファッションについて「男なのに」「女なのに」と言われる
・家事は女性の負担が大きいことが多い
・男性の保育士が少ない
・育児は女性が中心
〈これからどうなるといい?〉
・性別に関係なく好きな体育の科目が選べる(最近は選べるようになってきている)
・校則について見直す、話す機会をつくる
・プールサイドで男子が着替えるのはお互い困るので、男子更衣室を設ける
・受ける側のことを考えて発言する、思っても口に出さない
・男性も育児休暇が取得しやすくする

■楽しむ・遊ぶ
〈現状〉
・中学校の部活に、女子サッカー部がない
・ままごとで女の子は主婦、男の子は仕事という役割分担をしている
・休み時間に男子は体育館やグラウンドで遊ぶ、女子は教室にいる
・オーケストラの観客は女性が多いイメージ
・アクセサリーなどのファッションについて、性別によってイメージの差がある
・マンガや童話の中に性別に関する偏見もある
・男の子は少年、女の子は少女と言う。少男とは言わない
〈これからこうなるといい、こうしていきたい〉
・機会が平等にある
・性別に関係なく遊びを選べる
・自由に好きなことができる
・ファッションの基準が同じになるといい
・少男があってもいいかも?

■地域・防災
〈現状〉
・地域組織は男性が主体となっていることが多い
・消防団は男性が中心
・組織内の役割が性別によって決められている(女性は料理担当など)
・女性に偏った組織がある(交通安全母の会、婦人会など)
・子育ては女性が中心
〈これからどうなるといい?〉
・性別に関係なく地域の役員になるよう住民の理解が進むといい
・だれでも消防団になれるように役割を見直す
・役割を性別で決めない
・組織の名称や役割を見直す
・男性も育児休暇がとりやすい社会の雰囲気になるといい

参加者の声
参加者アンケートでは、「性別に関係なく、人それぞれの得意なことを生かす大切さに気づいた」
「イメージで行動や生活が操作されていることに気づいた」
「ジェンダーは人がつくったものだから、変えていくのも自分たちだと感じた」
などの声がありました。
最後に
今回のワークショップでは、参加者の皆さんが、日常の中にある「性別による役割や選択の違い」に気づき、その違いが本当に必要なのかを考えるきっかけとなりました。これは、みんなが自分らしく生きられる社会を実現する第一歩だと思います。皆さんのまわりには、どんな「身近にある性別による役割や選択のちがい」はありますか?
その違いは誰かの可能性を制限していないでしょうか。
性別に捉われず自分らしく生きられる社会にするため、私たち一人ひとりができることを考えてみましょう。
