【文化財】【紫波町の指定文化財】【岩手県指定文化財】木造七仏薬師如来立像/紫波町
指定区分
岩手県指定有形文化財(彫刻)
時代
平安
指定年月日
昭和56年(1981)12月4日
数量
7
所在地
岩手県紫波郡紫波町赤沢字田中
解説
「七仏薬師経」による七仏薬師像で、紫波町赤沢地区にある赤沢薬師堂に安置されています。中尊は約1.3m、脇尊は約85cmの立像で、いずれも右手は施無畏印(指をやや曲げ、掌を前方へ向けている相)で、左手には薬壺を持っています。製作年代は7躯全て平安時代とみられ、奥州藤原氏の時代の仏像です。平安時代の中尊と脇尊6躯の七仏がほぼ完存されている例は全国的にも貴重であり、その大きさの上でも類例のないものです。
この頃、紫波町南日詰には奥州藤原氏分族の居館「比爪館」および関連施設があり、大規模な拠点を形成していました。赤沢薬師堂周辺には比爪とゆかりのある「蓮華寺」と呼ばれる宗教施設が近世以前にあったとみられ、求心力を有する信仰の場であったと推測されています。現在でも地域の方々を構成員とする「薬師講」が本像を大切にお守りしています。
東日本大震災、経年劣化等により矧目がゆるみ、近世以降に施された表面彩色層の裂損・剥落が発生したことから、永続的な保存措置を講じるため解体のうえ修理を行いました(公益財団法人住友財団「文化財維持・修復事業助成」採択事業)。
修理事業で行った木材組織分析の結果、中尊と脇尊2躯はホオノキ材、脇尊4躯はカツラ材が用いられていることが確認されました。
【参考】
・岩手県立博物館テーマ展「比爪-もう一つの平泉-」図録(2014.3)
・岩手県「いわての文化情報大事典」木造七仏薬師如来立像
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