産業政策監調査研究報告第20号「子実用トウモロコシ産地化の課題と対応方向」
そこで多量に供給されてくる農地を有効活用出来る作物として省力的な子実用トウモロコシに着目し、2019年12月17日に子実用トウモロコシ導入可能性研修会を開催し産地化の検討を始めました。
その後、2020年4月17日に農研機構東北農業研究センターや岩手県等で構成される「水稲直播および子実用トウモロコシ普及促進会」(以下普及促進会という)が設置されました。
普及促進会により紫波町で現地実証が実施されることとなり、紫波町の農事組合法人水分農産で子実用トウモロコシの栽培実証、株式会社畠山畜産で肥育牛へサイレージ調製した子実用トウモロコシの給与実証が行われました。
現地実証から、子実用トウモロコシは、暗渠、明渠、サブソイラ等の排水対策を実施すれば、3カ年平均で約640kg/10aの収量を確保できることと、サイレージ調製した子実用トウモロコシを肥育牛に給与しても肥育成績等に影響がないことが明らかになりました。栽培と給与の実証結果のデータは後日、農研機構東北農業研究センターから公表される予定です。
子実用トウモロコシの産地化は、栽培技術的な課題はもとより、生産に必要な畑作機械体系への投資、生産する農家の拡大、乾燥貯蔵施設の整備、流通方法、販売先の畜産経営体とのマッチング等の経営的な課題が大きな課題となっています。
本報告書は、紫波町で2020年~2022年に行われた産地化の取り組みを通じて明らかになった子実用トウモロコシ産地化の経営的な課題と展開方向についてまとめたものです。本報告書を子実用トウモロコシの産地化に取組む関係者の皆さんの参考にしていただければ幸いです。
なお、過去に公表した産業政策監調査研究報告第7号『紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況』(令和3年3月)、第12号『紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況』(令和4年3月)の試算結果は本報告書で最新のデータを用いて改訂してありますので、生産コスト、経営収支、転作面積の見込み等は本報告書の数字を利用していただくようお願いします。
本報告書で取り上げなかった子実用トウモロコシの栽培に関する研究成果や情報は農研機構のホームページや日本メイズ生産者協会のホームページで公開されていますので参考にしてください。
〇農研機構ホームページ
①「子実用トウモロコシ生産・利活用の手引き(都府県向け)第1版」
(2019年3月、農研機構中央農業研究センター発行)
②「水田転換畑における子実用トウモロコシ栽培の高速作業体系標準作業手順書(東北地方版)」(2022年4月、農研機構https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/152522.html)
③東北地域における「子実用トウモロコシ生産・利用技術」紹介サイト
https://www.naro.go.jp/laboratory/tarc/contents/smart/corn.html
〇日本メイズ生産者協会ホームページ https://japan-maize-fa.vercel.app/
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調査・研究
産業政策監調査研究報告分類別一覧表について
産業政策監調査研究報告第33号「地域農業持続のためのグランドデザイン」
第32号「地域計画作成に向け想定する水田作経営の担い手の姿と確保方策」
産業政策監調査研究報告第31号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅱ」
産業政策監調査研究報告第30号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅰ」
産業政策監調査研究報告第29号「地域計画作成に向けた集落営農実態調査の分析」
産業政策監調査研究報告第28号「2020年農林業センサス紫波町農業集落別データブック」
産業政策監調査研究報告第27号「地域計画作成に向けた認定農業者の分析と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第26号「地域計画作成に向けた農林業センサスの分析」
産業政策監調査研究報告第25号「産業政策監におけるEBPMとアジャイル型プロジェクト」
産業政策監調査研究報告第24号「紫波町の農業の担い手確保に向けた統計分析と対応方向」
産業政策監の農村政策フェロー小川勝弘が東北農業経済学会学会賞を受賞しました。
産業政策監調査研究報告第23号「地域計画作成に向けた農地の需給見通しとリーディングプロジェクト」
産業政策監調査研究報告第22号「紫波町の作物別経営体数と作付面積の推移と見通し」
産業政策監調査研究報告第21号「紫波町の認定農業者の特徴と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第20号「子実用トウモロコシ産地化の課題と対応方向」
産業政策監調査研究報告第12号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」(令和3年度実績)
産業政策監調査研究報告第13号「農村政策フェロー3年間の活動実績」
産業政策監調査研究報告第14号「地産地消が地域経済と二酸化炭素削減に及ぼす効果の試算」
産業政策監調査研究報告第15号「紫波町の集落営農の特徴と今後の方向」
産業政策監調査研究報告第16号「畑に見いだす新たな価値」
産業政策監調査研究報告第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」
産業政策監調査研究報告第18号「財務諸表から見た紫波町の集落営農の展開方向」
産業政策監調査研究報告第19号「紫波町の新たな農業の取組みと農村政策フェローのジャンル確立」
産業政策監調査研究報告第1号「紫波町認定農業者の定量的分析と農地の需要見通し」
産業政策監調査研究報告第2号「紫波町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第3号「農業体験農園シンポジウムの開催状況」
産業政策監調査研究報告第4号「古館農業体験農園の取組状況と盛岡市市民の農業体験農園の意向」
産業政策監調査研究報告第5号「紫波町の農業生産構造動向分析」
産業政策監調査研究報告第6号「農村政策フェローの活動状況」
産業政策監調査研究報告第7号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」
産業政策監調査研究報告第8号「紫波町における旧町村別農業生産構造の特徴と人・農地プランの実践」
産業政策監調査研究報告第9号「紫波町の旧町村別農業生産構造の動向分析と今後の農業振興策の考え方」
産業政策監調査研究報告第10号「畑からはじまる心地よい暮らしの集い開催状況」~畑を利用して活動している各団体の活動内容~
産業政策監調査研究報告第11号「紫波町における人・農地プランの取組状況」