産業政策監調査研究報告第18号「財務諸表から見た紫波町の集落営農の展開方向」
~集落営農実態調査及び水田作経営の法人と集落営農の決算資料の分析~
はじめに
紫波町の集落営農数は、46組織で広域合併していない市町村としては岩手県内で最も多く、1集落営農当たりの経営規模は46haで県内では最も経営規模が大きくなっています。
しかしながら、経営的には枝番方式で従来の個別経営の農家の集まりとなっている組織が多く、法人化率も30%と必ずしも法人化が進んでいません。
紫波町の集落営農は、設立後十数年経過し構成員の高齢化が進んだものの、組織としての後継者は確保されていない状況にあり、今後の持続性が課題となっています。
本報告書では、今後の紫波町の集落営農のあり方を検討するために、農林水産省の集落営農実態調査により紫波町の集落営農の特徴を明らかにするとともに紫波町の水田作経営の法人の決算書と集落営農の総会資料をもとに財務諸表から見た法人と集落営農の特徴を明らかにしています。
定量的な統計分析と町内の法人と集落営農の実際の決算資料の分析結果から見た紫波町の集落営農の展開方向として以下の6項目を整理しました。
本報告書を集落営農の今後のあり方を検討するための参考にしていただければ幸いです。
<紫波町における集落営農の展開方向>
1.集落営農の経営の一元化
2.集落営農の経営規模の拡大
3.集落営農の法人化
4.雇用による後継者の確保
5.法人化による投資資金の確保
6.地域の農地を一元的に管理する主体の創設
詳細は報告書p16~p18 5紫波町における集落営農の展開方向をご覧ください。
<留意事項>
本報告書は、紫波町農政課が業務資料として保管していた集落営農の総会資料、法人の決算書を用いて分析しているため、資料が無く分析から漏れている経営体もあります。
また、経営体毎に勘定科目の名称が異なっていること、製造原価と一般管理費への計上方法が異なっている事例があったため、財務諸表を独自に読み替えて集計し分析しています。
このため、今回の財務諸表の分析結果は、必ずしも厳密なものでなく、このような傾向があるという程度に理解願います。
今後、財務諸表の分析精度を向上させ集落営農や法人の経営指導の基礎資料とするためには、各経営体の最新の総会資料と決算書(貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書販売経費および一般管理費)を集約する必要があります。また、将来的には、組織経営体の決算書を農業法人協会が示す「農業の会計に関する指針」「農業法人標準勘定科目」に統一していくことが必要です。
調査・研究
第36号「地域計画作成支援と6年間の活動振返り」
第35号「紫波町水分地区の担い手及び農地の見通しと今後の対応方向」
第34号「紫波町における地域・年齢別基幹的農業従事者割合」
産業政策監調査研究報告分類別一覧表について
産業政策監調査研究報告第33号「地域農業持続のためのグランドデザイン」
第32号「地域計画作成に向け想定する水田作経営の担い手の姿と確保方策」
産業政策監調査研究報告第31号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅱ」
産業政策監調査研究報告第30号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅰ」
産業政策監調査研究報告第29号「地域計画作成に向けた集落営農実態調査の分析」
産業政策監調査研究報告第28号「2020年農林業センサス紫波町農業集落別データブック」
産業政策監調査研究報告第27号「地域計画作成に向けた認定農業者の分析と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第26号「地域計画作成に向けた農林業センサスの分析」
産業政策監調査研究報告第25号「産業政策監におけるEBPMとアジャイル型プロジェクト」
産業政策監調査研究報告第24号「紫波町の農業の担い手確保に向けた統計分析と対応方向」
産業政策監の農村政策フェロー小川勝弘が東北農業経済学会学会賞を受賞しました。
産業政策監調査研究報告第23号「地域計画作成に向けた農地の需給見通しとリーディングプロジェクト」
産業政策監調査研究報告第22号「紫波町の作物別経営体数と作付面積の推移と見通し」
産業政策監調査研究報告第21号「紫波町の認定農業者の特徴と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第20号「子実用トウモロコシ産地化の課題と対応方向」
産業政策監調査研究報告第12号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」(令和3年度実績)
産業政策監調査研究報告第13号「農村政策フェロー3年間の活動実績」
産業政策監調査研究報告第14号「地産地消が地域経済と二酸化炭素削減に及ぼす効果の試算」
産業政策監調査研究報告第15号「紫波町の集落営農の特徴と今後の方向」
産業政策監調査研究報告第16号「畑に見いだす新たな価値」
産業政策監調査研究報告第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」
産業政策監調査研究報告第18号「財務諸表から見た紫波町の集落営農の展開方向」
産業政策監調査研究報告第19号「紫波町の新たな農業の取組みと農村政策フェローのジャンル確立」
産業政策監調査研究報告第1号「紫波町認定農業者の定量的分析と農地の需要見通し」
産業政策監調査研究報告第2号「紫波町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第3号「農業体験農園シンポジウムの開催状況」
産業政策監調査研究報告第4号「古館農業体験農園の取組状況と盛岡市市民の農業体験農園の意向」
産業政策監調査研究報告第5号「紫波町の農業生産構造動向分析」
産業政策監調査研究報告第6号「農村政策フェローの活動状況」
産業政策監調査研究報告第7号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」
産業政策監調査研究報告第8号「紫波町における旧町村別農業生産構造の特徴と人・農地プランの実践」
産業政策監調査研究報告第9号「紫波町の旧町村別農業生産構造の動向分析と今後の農業振興策の考え方」
産業政策監調査研究報告第10号「畑からはじまる心地よい暮らしの集い開催状況」~畑を利用して活動している各団体の活動内容~
産業政策監調査研究報告第11号「紫波町における人・農地プランの取組状況」