第34号「紫波町における地域・年齢別基幹的農業従事者割合」

 本報告書作成の背景と要約 
 
これまで、地域農業経営基盤強化促進計画を作成するための参考資料として、農林業センサスを用いて農業生産構造の分析や将来予測を行うとともに、認定農業者、集落営農、新規就農者の分析を行い、産業政策監調査研究報告で公表してきました。(詳細はp4地域計画作成に関する産業政策監調査研究報告)
 本報告は、就業状況から見た紫波町の農業の位置づけを明らかにするために、紫波町の人口に占める基幹的農業従事者の割合を年齢階層と地域別に試算したものです。

 試算した結果、人口に占める基幹的農業従事者割合は地域と年齢階層で以下のような特徴がみられます。
地   域 人口に占める基幹的農業従事者割合(20歳~74歳) 基幹的農業従事者割合の年齢階層別特徴
混住兼業地域
(日詰、古館、赤石)
1%~2%と極めて低くなっています。 59歳以下の年齢階層では、基幹的農業従事者が占める割合が極めて低く、0.5%以下となっています。
平坦水田地域
(水分、志和、彦部、長岡)
12%~15%となっています。 59歳以下の年齢階層では、基幹的農業従事者が占める割合が低く、5パーセント程度となっています。
丘陵果樹地域
(佐比内、赤沢)
30%~40%と高くなっています。 59歳以下の年齢階層では、基幹的農業従事者が占める割合は低く6%~10%程度となっています。
 各地区とも59歳以下の年齢階層で基幹的農業従事者割合が極端に低くなっていますが、この要因は、この世代が生まれた第二次ベビーブーム以降一貫して日本の人口が減少していることと、この世代が就職期を迎えたのが日本経済のバブル期で有効求人倍率が高かったため、農業以外に就職したためと考えられます。 
 紫波町は、農業的な土地利用が多く、農業が町の基幹産業と言われています。
 しかしながら、人口に占める基幹的農業従事者の割合は、近年、急速に減少し、農村部においても非農業従事者の割合が高くなっています。特に混住兼業地域は、非農業従事者の割合が極めて高く、就業状況から見ると必ずしも農村と言えない状況となってきています。
 町内の全地区で59歳以下の年齢階層で人口に占める基幹的農業従事者割合が極端に低下しているため、時間の経過とともに農村部においても非農業従事者の割合が急速に高くなっていくと見込まれます。
 したがって、地域農業経営基盤強化促進計画の作成にあたっては、今後、担い手が急速に減少することと、地区の住民の非農業従事者の割合が急増していくことにより営農環境の悪化が懸念されることも前提として地域農業の将来の在り方を議論する必要があると考えられます。
 地域農業経営基盤強化促進計画の作成あたり本報告書を活用していただければ幸いです。
<留意事項>
人口と基幹的農業従事者数は、20歳~74歳の年齢階層のデータを使用しているため、使用統計の総計とは異なります。(今回の分析目的が就業者数のため、就業していると考えられる年代に限定)
人口は、2024年9月のデータを使用しています。
年齢階層別基幹的農業従事者数は、調査年次を修正するため、2020年農林業センサスの年齢階層別の従事者数を5歳上の階層に移動した推計値としています。

 

報告書の本文は以下をクリックするとご覧いただけます。

34号「紫波町における地域・年齢別基幹的農業従事者割合」公開版2024.12.23.pdf

 

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