産業政策監調査研究報告第11号「紫波町における人・農地プランの取組状況」

はじめに
本報告書は、令和4年2月18日に岩手県農業会議が主催した農業委員会会長・事務局長合同会議・研修会で「紫波町における人・農地プランの取り組み状況」と題して講演した内容です。
紫波町では、これまで農地の有効活用策を検討するための試行錯誤を続け、現在「農地有効活用リーディングプロジェクト」として試行しています。
今回の講演に当たり、紫波町の1事例としてだけでなく、より普遍的に参考に出来る内容とするため、マネジメント方式の一つである「PDRサイクル」に依拠して、これまでの紫波町の取り組みを再整理してあります。
「PDR(準備、実行、見直し)サイクル」は、従来の「PDCA(計画、実行、評価、改善)サイクル」に比較し、計画と評価に多くの時間を割かないため、よりスピード感のあるマネジメントサイクルとして近年注目されています。
2020年農林業センサスで紫波町の基幹的農業従事者の平均年齢は、69.6歳となっています。このままで推移すれば2025年には基幹的農業従事者の平均年齢は75歳に達する見込みとなります。75歳以上の年齢階層ではリタイヤする農業従事者が一気に増加していることから、2025年以降に紫波町の基幹的農業従事者は一気に減少し、大量の農地が供給されてくるという大きな課題があります。
課題解決までの時間が限られることから、計画に時間を費やすよりは、まずは課題解決につながる可能性があることを実行してみることが必要であり、スピード感のあるPDRサイクルは有効な手段と考えられます。
紫波町で試行している農地有効活用リーディングプロジェクトは、紫波町の地区毎の地域特性と連動させて、4つのプロジェクトの適応地域を平坦地域、丘陵地域、平坦混住地域、山間地域と整理してあります。
1.平坦地域での子実用トウモロコシの産地化
2.丘陵地域での農地を一元的に管理する管理主体の創設
3.平坦混住地域での農業体験農園の設置
4.山間地域での新たなウルシ産業の創出
これらの農地有効活用リーディングプロジェクトの適応地域を岩手県に当てはめると、1.平坦地域は、北上川、雫石川、豊沢川、和賀川、胆沢川等の大規模河川の流域、2.丘陵地域は、奥羽山脈と北上高地の中山間地域、3.平坦混住地域は、盛岡市から一関市までの国道4号線と東北本線沿い、4.山間地域は奥羽山脈と北上高地の山間地域に該当し、県内の広範な地域で適用出来る可能性があると考えられます。
本報告書が県内各地の人・農地プランの実践に当たって参考になれば幸いです。
調査・研究
第36号「地域計画作成支援と6年間の活動振返り」
第35号「紫波町水分地区の担い手及び農地の見通しと今後の対応方向」
第34号「紫波町における地域・年齢別基幹的農業従事者割合」
産業政策監調査研究報告分類別一覧表について
産業政策監調査研究報告第33号「地域農業持続のためのグランドデザイン」
第32号「地域計画作成に向け想定する水田作経営の担い手の姿と確保方策」
産業政策監調査研究報告第31号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅱ」
産業政策監調査研究報告第30号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅰ」
産業政策監調査研究報告第29号「地域計画作成に向けた集落営農実態調査の分析」
産業政策監調査研究報告第28号「2020年農林業センサス紫波町農業集落別データブック」
産業政策監調査研究報告第27号「地域計画作成に向けた認定農業者の分析と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第26号「地域計画作成に向けた農林業センサスの分析」
産業政策監調査研究報告第25号「産業政策監におけるEBPMとアジャイル型プロジェクト」
産業政策監調査研究報告第24号「紫波町の農業の担い手確保に向けた統計分析と対応方向」
産業政策監の農村政策フェロー小川勝弘が東北農業経済学会学会賞を受賞しました。
産業政策監調査研究報告第23号「地域計画作成に向けた農地の需給見通しとリーディングプロジェクト」
産業政策監調査研究報告第22号「紫波町の作物別経営体数と作付面積の推移と見通し」
産業政策監調査研究報告第21号「紫波町の認定農業者の特徴と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第20号「子実用トウモロコシ産地化の課題と対応方向」
産業政策監調査研究報告第12号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」(令和3年度実績)
産業政策監調査研究報告第13号「農村政策フェロー3年間の活動実績」
産業政策監調査研究報告第14号「地産地消が地域経済と二酸化炭素削減に及ぼす効果の試算」
産業政策監調査研究報告第15号「紫波町の集落営農の特徴と今後の方向」
産業政策監調査研究報告第16号「畑に見いだす新たな価値」
産業政策監調査研究報告第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」
産業政策監調査研究報告第18号「財務諸表から見た紫波町の集落営農の展開方向」
産業政策監調査研究報告第19号「紫波町の新たな農業の取組みと農村政策フェローのジャンル確立」
産業政策監調査研究報告第1号「紫波町認定農業者の定量的分析と農地の需要見通し」
産業政策監調査研究報告第2号「紫波町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第3号「農業体験農園シンポジウムの開催状況」
産業政策監調査研究報告第4号「古館農業体験農園の取組状況と盛岡市市民の農業体験農園の意向」
産業政策監調査研究報告第5号「紫波町の農業生産構造動向分析」
産業政策監調査研究報告第6号「農村政策フェローの活動状況」
産業政策監調査研究報告第7号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」
産業政策監調査研究報告第8号「紫波町における旧町村別農業生産構造の特徴と人・農地プランの実践」
産業政策監調査研究報告第9号「紫波町の旧町村別農業生産構造の動向分析と今後の農業振興策の考え方」
産業政策監調査研究報告第10号「畑からはじまる心地よい暮らしの集い開催状況」~畑を利用して活動している各団体の活動内容~
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