産業政策監調査研究報告第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」

第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」/紫波町

~一般社団法人 里地里山ネット漆立の事例 ~

これまでは、集落営農を法人化する際の法人の形態は、ほとんどが農事組合法人や株式会社でしたが、最近、農地中間管理事業の活用を前提にして一般社団法人(非営利型)を設立し、地域の農地を一元的に管理する方式に取組む事例が出てきました。

紫波町においても2020年8月に地域の農地を一元的管理する管理主体として一般社団法人里地里山ネット漆立が設立されています。

この方式は、農地中間管理事業を活用して地域の農地をまるごと農地バンク(農地中間管理機構)に貸し出して一般社団法人が地域の農地をまるごと借り入れて営農する方式です。この方式は中山間地域で多く取り組まれています。

この方式は、地域の農業者が高齢化して農地の管理が困難になってきている地域で荒廃農地の発生防止や離農する農家の農地のセーフティーネットとして有効であると考えられます。

紫波町の中では大規模な水田農業経営体がいない丘陵地帯(佐比内、赤沢、長岡)や中山間地域で有効な方式と考えられます。

本報告書は、農地を一元的に管理する管理主体として一般社団法人(非営利型)を設立する際の参考資料としてとりまとめたものです。

まずは、農地中間管理事業を活用して地域の農地の所有と経営を分離し、地域の農地の一元的な管理を行う仕組みを作ることは効率的な農業経営を行うために必要不可欠と考えられます。

一元的に管理された農地の上でどのような農業経営体を創設するかは、地域の特性と目指す経営の姿に応じて農事組合法人、株式会社、一般社団法人、個別経営体を選択することになります。

本報告書が地域の農地を一元的に管理する主体として一般社団法人(非営利型)を創設する場合の参考にしていただければ幸いです。

なお、本報告書で述べている「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」は、魅力ある地域づくり研究所 代表可知祐一郎氏(元愛知県農業振興基金理事長)が提唱している「地域まるっと中間管理方式」を参考にしてあります。

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