第39号「農地中間管理事業を活用した農地の一元的管理の考え方」最終更新日:2025年07月15日
紫波町の農業の担い手数は一貫して減少しており、基幹的農業従事者は、2020年の1,729人から2035年には823人(2020年比48%)に減少すると見込まれます。個人経営の農業経営体数は、2020年の1,178経営体から2035年には531経営体(2020年比45%)に減少し、離農した経営体から1,096.5haの農地が供給されてくると予測されています。一方、認定農業者の経営規模拡大目標面積の合計は232.9haしかなく863.6haの農地が供給過剰となると試算されます。
農林水産省の土地利用型(コメ、麦、大豆等)の経営体数の推計では2030年までに経営体数は46%、経営面積は66%に減少して74万ha(2020年経営耕地面積対比34.1%)の農地が使用されなくなると推計しています。また、令和6年度末までに作成された全国の地域計画の集計結果では、将来の受け手が決まらない農地が139万ha(計画地域の農地面積の32.8%)となっています。
全国的に今後10年で、農家数が約半分になり、大量の農地が供給されてくると見込まれています。
紫波町では、今後、大量に供給されてくる農地を有効活用するためにリーディングプロジェクトを試行しています。平坦水田地域では、子実トウモロコシ産地化、資源循環型酒造、つなぐビール連携、丘陵地域では、農地の一元的管理主体創設、混住兼業地域では、農業体験農園普及、山間地域では、新たなウルシ産業創出です。
本報告書は、リーディングプロジェクトの一つである「農地の一元的管理主体創設プロジェクト」の試行結果を踏まえ、より一般化して体系的にまとめたものです。
紫波町では、地域の農地を一元的に管理する主体として2020年に一般社団法人里地里山ネット漆立が設立されました。この事例は、「地域まるっと中間管理方式」の先行事例として注目され、これまでに32の機関の方々が来町されています。来町された皆さんとの意見交換、研修・講演での質疑応答、研究機関によるインタビュー調査は、当町の取り組みを深化させるうえで有益でしたので記してお礼申し上げます。
本報告書が各地の地域計画の見直しや農地の一元的管理主体の創設にあたって参考にしていただければ幸いです。
※本報告書で述べている「農地中間管理事業を活用した農地の一元的管理方法」は、魅力ある地域づくり研究所代表可知祐一郎氏が提唱している「地域まるっと中間管理方式」を基に考えられたものです。
<学術調査で来町した研究機関>
九州大学、東北大学、政策研究大学院大学、秋田県立大学、酪農学園大学、農研機構企画戦略本部、農林中金総合研究所、(一社)農業開発研修センター、岩手農業研究センター、魅力ある地域づくり研究所
<意見交換で来町した行政機関>
農水省経営局農地政策課、農水省大臣官房消費流通統計課(オンライン)、東北農政局生産流通部、岩手県農業振興課
<視察研修で来町または講演した機関>
青森県上十三地区農業委員会連絡協議会、青森県三八地区農業委員会連絡協議会、秋田県羽後町、秋田県かづの土地改良区、宮城県農業振興課、山形県山形市、福島県会津若松市農業委員会(講演)、福島県田村市議会、福島県磐梯町議会、宇都宮市農業委員会、大分県西部振興局、盛岡市、奥州市、奥州市議会、奥州市認定農業者協議会(講演)、滝沢市、滝沢市(講演)、西和賀町
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39号「農地中間管理事業を活用した農地の一元的管理方式の考え方」公開版2025.7.14.pdf
調査・研究
第39号「農地中間管理事業を活用した農地の一元的管理の考え方」
第38号「紫波町におけるビール用大麦生産の取組経過」
第37号「紫波町水分地区における地域計画策定経過」
第36号「地域計画作成支援と6年間の活動振返り」
第35号「紫波町水分地区の担い手及び農地の見通しと今後の対応方向」
第34号「紫波町における地域・年齢別基幹的農業従事者割合」
産業政策監調査研究報告分類別一覧表について
産業政策監調査研究報告第33号「地域農業持続のためのグランドデザイン」
第32号「地域計画作成に向け想定する水田作経営の担い手の姿と確保方策」
産業政策監調査研究報告第31号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅱ」
産業政策監調査研究報告第30号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅰ」
産業政策監調査研究報告第29号「地域計画作成に向けた集落営農実態調査の分析」
産業政策監調査研究報告第28号「2020年農林業センサス紫波町農業集落別データブック」
産業政策監調査研究報告第27号「地域計画作成に向けた認定農業者の分析と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第26号「地域計画作成に向けた農林業センサスの分析」
産業政策監調査研究報告第25号「産業政策監におけるEBPMとアジャイル型プロジェクト」
産業政策監調査研究報告第24号「紫波町の農業の担い手確保に向けた統計分析と対応方向」
産業政策監の農村政策フェロー小川勝弘が東北農業経済学会学会賞を受賞しました。
産業政策監調査研究報告第23号「地域計画作成に向けた農地の需給見通しとリーディングプロジェクト」
産業政策監調査研究報告第22号「紫波町の作物別経営体数と作付面積の推移と見通し」
産業政策監調査研究報告第21号「紫波町の認定農業者の特徴と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第20号「子実用トウモロコシ産地化の課題と対応方向」
産業政策監調査研究報告第12号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」(令和3年度実績)
産業政策監調査研究報告第13号「農村政策フェロー3年間の活動実績」
産業政策監調査研究報告第14号「地産地消が地域経済と二酸化炭素削減に及ぼす効果の試算」
産業政策監調査研究報告第15号「紫波町の集落営農の特徴と今後の方向」
産業政策監調査研究報告第16号「畑に見いだす新たな価値」
産業政策監調査研究報告第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」
産業政策監調査研究報告第18号「財務諸表から見た紫波町の集落営農の展開方向」
産業政策監調査研究報告第19号「紫波町の新たな農業の取組みと農村政策フェローのジャンル確立」
産業政策監調査研究報告第1号「紫波町認定農業者の定量的分析と農地の需要見通し」
産業政策監調査研究報告第2号「紫波町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第3号「農業体験農園シンポジウムの開催状況」
産業政策監調査研究報告第4号「古館農業体験農園の取組状況と盛岡市市民の農業体験農園の意向」
産業政策監調査研究報告第5号「紫波町の農業生産構造動向分析」
産業政策監調査研究報告第6号「農村政策フェローの活動状況」
産業政策監調査研究報告第7号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」
産業政策監調査研究報告第8号「紫波町における旧町村別農業生産構造の特徴と人・農地プランの実践」
産業政策監調査研究報告第9号「紫波町の旧町村別農業生産構造の動向分析と今後の農業振興策の考え方」
産業政策監調査研究報告第10号「畑からはじまる心地よい暮らしの集い開催状況」~畑を利用して活動している各団体の活動内容~
産業政策監調査研究報告第11号「紫波町における人・農地プランの取組状況」