第40号「生成AIを活用したリンゴ作経営の雇用労働力確保対策のケーススタディ」最終更新日:2025年09月17日
近年、生成AIの技術革新は目覚ましく、「Deep Research(ディープ・リサーチ)機能」がAIツールに搭載されるようになりました。この機能は、ユーザーの指示に基づき、インターネット上の膨大な情報を自律的に収集・分析し、詳細なレポートを作成するものです。従来の検索と比較して、深い文脈理解、人間が数時間かけるような複数ステップの調査の自動実行、そして従来見つけにくかったパターンやトレンドの抽出といった高度なデータ解析が可能であり、情報の出典も明示されることで信頼性が確保されます。
本報告書は、町において導入検討段階である生成AIを試験的に利用し、生成AIのDeep Research機能が、農業現場の課題解決にいかに活用できるかを検証するためにケーススタディを実施したものです。具体的には、紫波町内のリンゴ栽培経営が直面する雇用労働力確保の課題に対し、労働力マッチングアプリの効果的な活用方策を検討するケーススタディとして実施し、同時に生成AIの有効性についても評価しています。
本報告書では、大規模言語モデルであるGoogle GeminiのDeep Research機能(以下Deep Research機能という)、小規模言語モデルであるGoogle NotebookLM(以下NotebookLMという)を組み合わせて活用しています。
Deep Research機能を用いて作成された、労働力マッチングアプリのデイワーク(daywork)、タイミー、YUIME(ユイメ)に関するレポートは、広範な情報を網羅し、的確に整理され、分かりやすい文章表現で提供されました。次に、このレポートの内容をNotebookLMのソースとして登録し、レポートの要約を作成するとともに、各マッチングアプリの特徴と長所・短所の比較や、労働力マッチングアプリの効果的な活用戦略を作成しています。
さらに、Deep Research機能を用いて作成したデイワークの報告書に出てくる先行事例のホームページで公開されている資料(事業実施状況、活動体制、生産者や求職者向けの告知チラシ等)をNotebookLMのソースに登録して、先進事例の情報を統合化した推進体制や関係機関の役割分担、雇用者の心得、求人と募集告知チラシを作成しました。作成された活用戦略やチラシ等は、現場の実態に即した有益な提案であると評価されました。
以上の検証結果から、生成AIは、農業現場の課題解決において有効なツールであると考えられます。特に大規模言語モデルを活用して広範な情報を集約した報告書を作成し、内容の真偽の確認を経てそれらの報告書を小規模言語モデルに登録して統合化することにより、より有益な情報が得られると考えられます。
本報告書が、農業現場における生成AI活用の一助となれば幸いです。
なお、Deep Research機能を活用して作成されたレポートの著作権は、職務著作以外は作成者に帰属するとされています。
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40号「生成AIを活用したリンゴ作経営の雇用労働力確保対策のケーススタディ」(公開用)2005.9.17.pdf
調査・研究
第40号「生成AIを活用したリンゴ作経営の雇用労働力確保対策のケーススタディ」
第39号「農地中間管理事業を活用した農地の一元的管理の考え方」
第38号「紫波町におけるビール用大麦生産の取組経過」
第37号「紫波町水分地区における地域計画策定経過」
第36号「地域計画作成支援と6年間の活動振返り」
第35号「紫波町水分地区の担い手及び農地の見通しと今後の対応方向」
第34号「紫波町における地域・年齢別基幹的農業従事者割合」
産業政策監調査研究報告分類別一覧表について
産業政策監調査研究報告第33号「地域農業持続のためのグランドデザイン」
第32号「地域計画作成に向け想定する水田作経営の担い手の姿と確保方策」
産業政策監調査研究報告第31号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅱ」
産業政策監調査研究報告第30号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅰ」
産業政策監調査研究報告第29号「地域計画作成に向けた集落営農実態調査の分析」
産業政策監調査研究報告第28号「2020年農林業センサス紫波町農業集落別データブック」
産業政策監調査研究報告第27号「地域計画作成に向けた認定農業者の分析と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第26号「地域計画作成に向けた農林業センサスの分析」
産業政策監調査研究報告第25号「産業政策監におけるEBPMとアジャイル型プロジェクト」
産業政策監調査研究報告第24号「紫波町の農業の担い手確保に向けた統計分析と対応方向」
産業政策監の農村政策フェロー小川勝弘が東北農業経済学会学会賞を受賞しました。
産業政策監調査研究報告第23号「地域計画作成に向けた農地の需給見通しとリーディングプロジェクト」
産業政策監調査研究報告第22号「紫波町の作物別経営体数と作付面積の推移と見通し」
産業政策監調査研究報告第21号「紫波町の認定農業者の特徴と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第20号「子実用トウモロコシ産地化の課題と対応方向」
産業政策監調査研究報告第12号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」(令和3年度実績)
産業政策監調査研究報告第13号「農村政策フェロー3年間の活動実績」
産業政策監調査研究報告第14号「地産地消が地域経済と二酸化炭素削減に及ぼす効果の試算」
産業政策監調査研究報告第15号「紫波町の集落営農の特徴と今後の方向」
産業政策監調査研究報告第16号「畑に見いだす新たな価値」
産業政策監調査研究報告第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」
産業政策監調査研究報告第18号「財務諸表から見た紫波町の集落営農の展開方向」
産業政策監調査研究報告第19号「紫波町の新たな農業の取組みと農村政策フェローのジャンル確立」
産業政策監調査研究報告第1号「紫波町認定農業者の定量的分析と農地の需要見通し」
産業政策監調査研究報告第2号「紫波町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第3号「農業体験農園シンポジウムの開催状況」
産業政策監調査研究報告第4号「古館農業体験農園の取組状況と盛岡市市民の農業体験農園の意向」
産業政策監調査研究報告第5号「紫波町の農業生産構造動向分析」
産業政策監調査研究報告第6号「農村政策フェローの活動状況」
産業政策監調査研究報告第7号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」
産業政策監調査研究報告第8号「紫波町における旧町村別農業生産構造の特徴と人・農地プランの実践」
産業政策監調査研究報告第9号「紫波町の旧町村別農業生産構造の動向分析と今後の農業振興策の考え方」
産業政策監調査研究報告第10号「畑からはじまる心地よい暮らしの集い開催状況」~畑を利用して活動している各団体の活動内容~
産業政策監調査研究報告第11号「紫波町における人・農地プランの取組状況」