第42号「地域農業動向予測システムの地域計画での活用」最終更新日:2026年02月19日
本報告書は農研機構が主催する「担い手育成支援セミナー −地域農業動向予測システム(RAPs)の活用」の中で「岩手県紫波町における「地域計画」での活用事例」と題して報告する機会があったことから、主にこれまで公表してきた産業政策監調査研究報告の内容を再編集し研修会資料としてとりまとめたものです。
今回のセミナー用に新たに加えた内容は次の通りです。
①地域計画の白地農地問題
全国で地域計画を作成した結果、将来の受け手が位置付けられていない農地いわゆる「白地農地」が全国で36%あり、計画のブラッシュアップの中で白地農地の解消が課題とされています。
そこで白地農地が発生するメカニズムについて仮説を立てて、統計データを用いて検証しました。
<白地農地発生のメカニズム>
農業収益悪化 ⇒ 農業後継者の他産業への就業 ⇒ 農業従事者の高齢化・担い手不足
⇒ 高齢農家の離農で供給農地増加・担い手不足で農地の需要無 ⇒ 白地農地発生
〇統計分析結果:・収益性が低いほど高齢化率が高い
・高齢化率が高いほど2035年の農家残存率が低い
・農家残存率が高いほど供給農地面積率が低い
したがって白地農地の解消そのものを目的にすることは対症療法的な取り組みと考えられ、白地農地の発生を抑制するためには、農業収益の向上を図る対因療法的な取り組みが必要と考えられます。
②リーディングプロジェクトの農研機構との連携
農地の有効活用や農業収益性の向上を目的として試行しているリーディングプロジェクトについて農研 機構と連携した研究成果の社会実装という観点から整理しました。
研究成果 ⇒ ①現地実証 ⇒ ②パブリシティー ⇒ ③情報公開 ⇒ ④横展開
地域農業動向予測システムの有用性と地域計画の在り方を整理すると次の通りです。
<地域農業動向予測システム>
・システムの予測値の精度は高く、旧町村別の地域農業の実態を反映している
・旧町村ごとに農地需要量を積算すれば、旧町村ごとの農地需給見通しの定量化が可能である
・予測値と農林業センサスの実績値の乖離に注目することにより重点支援地域の明確化が可能である
・予測値を基に関係機関や地域において危機感の共有とデータに基づいた対策の検討が可能である
<地域計画>
・地域計画の見直しにあたり、農地集積や白地農地解消に重きを置くだけでなく農業の収益向上対策と
担い手確保策の検討が必要
・作物の経済特性と地域の立地特性に応じた多様な取組が必要
・紫波町のリーディングプロジェクトは課題解決策の一つとして試行
・リーディングプロジェクトは農研機構と連携した研究成果の社会実装
本報告書が地域計画の見直しの際の参考資料にしていただければ幸いです。
※地域農業動向予測システム(RAPs)は、AI(人工知能)により算出された各地域における農業経営体数等の将来動向の予想値を提供し、地域農業に関する計画づくりを支援するシステムです。
農研機構で開発され公開されています。地域農業動向予測システム URL https://raps.rad.naro.go.jp/
報告書は以下をクリックするとご覧いただけます。
42号「地域農業動向予測システムの地域計画での活用」公開版2026.2.19.pdf
調査・研究
第42号「地域農業動向予測システムの地域計画での活用」
産業政策監調査研究報告一覧表(公表順、分類別)
第41号「紫波町における地域計画策定経過と今後の展開方向」
第40号「生成AIを活用したリンゴ作経営の雇用労働力確保対策のケーススタディ」
第39号「農地中間管理事業を活用した農地の一元的管理の考え方」
第38号「紫波町におけるビール用大麦生産の取組経過」
第37号「紫波町水分地区における地域計画策定経過」
第36号「地域計画作成支援と6年間の活動振返り」
第35号「紫波町水分地区の担い手及び農地の見通しと今後の対応方向」
第34号「紫波町における地域・年齢別基幹的農業従事者割合」
産業政策監調査研究報告分類別一覧表について
産業政策監調査研究報告第33号「地域農業持続のためのグランドデザイン」
第32号「地域計画作成に向け想定する水田作経営の担い手の姿と確保方策」
産業政策監調査研究報告第31号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅱ」
産業政策監調査研究報告第30号「紫波町の地域計画作成に向けた農業経営の意向調査の分析Ⅰ」
産業政策監調査研究報告第29号「地域計画作成に向けた集落営農実態調査の分析」
産業政策監調査研究報告第28号「2020年農林業センサス紫波町農業集落別データブック」
産業政策監調査研究報告第27号「地域計画作成に向けた認定農業者の分析と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第26号「地域計画作成に向けた農林業センサスの分析」
産業政策監調査研究報告第25号「産業政策監におけるEBPMとアジャイル型プロジェクト」
産業政策監調査研究報告第24号「紫波町の農業の担い手確保に向けた統計分析と対応方向」
産業政策監の農村政策フェロー小川勝弘が東北農業経済学会学会賞を受賞しました。
産業政策監調査研究報告第23号「地域計画作成に向けた農地の需給見通しとリーディングプロジェクト」
産業政策監調査研究報告第22号「紫波町の作物別経営体数と作付面積の推移と見通し」
産業政策監調査研究報告第21号「紫波町の認定農業者の特徴と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第20号「子実用トウモロコシ産地化の課題と対応方向」
産業政策監調査研究報告第12号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」(令和3年度実績)
産業政策監調査研究報告第13号「農村政策フェロー3年間の活動実績」
産業政策監調査研究報告第14号「地産地消が地域経済と二酸化炭素削減に及ぼす効果の試算」
産業政策監調査研究報告第15号「紫波町の集落営農の特徴と今後の方向」
産業政策監調査研究報告第16号「畑に見いだす新たな価値」
産業政策監調査研究報告第17号「地域の農地を一元的に管理する管理主体の創設」
産業政策監調査研究報告第18号「財務諸表から見た紫波町の集落営農の展開方向」
産業政策監調査研究報告第19号「紫波町の新たな農業の取組みと農村政策フェローのジャンル確立」
産業政策監調査研究報告第1号「紫波町認定農業者の定量的分析と農地の需要見通し」
産業政策監調査研究報告第2号「紫波町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し」
産業政策監調査研究報告第3号「農業体験農園シンポジウムの開催状況」
産業政策監調査研究報告第4号「古館農業体験農園の取組状況と盛岡市市民の農業体験農園の意向」
産業政策監調査研究報告第5号「紫波町の農業生産構造動向分析」
産業政策監調査研究報告第6号「農村政策フェローの活動状況」
産業政策監調査研究報告第7号「紫波町における子実用トウモロコシ産地化の取組状況」
産業政策監調査研究報告第8号「紫波町における旧町村別農業生産構造の特徴と人・農地プランの実践」
産業政策監調査研究報告第9号「紫波町の旧町村別農業生産構造の動向分析と今後の農業振興策の考え方」
産業政策監調査研究報告第10号「畑からはじまる心地よい暮らしの集い開催状況」~畑を利用して活動している各団体の活動内容~
産業政策監調査研究報告第11号「紫波町における人・農地プランの取組状況」
